調香師が紹介する世界各地の奥深い香りの歴史~古代編~

香り 歴史 メソポタミア 香りコラム

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人類はいつから香りを楽しむようになったのでしょうか?

何千年も前から、現代の私たちと同じように香りを楽しんでいたとしたら、ロマンがあって素敵ですよね。

この記事では、香水のプロ・調香師ユタカが、香りの歴史の中でも古代にフォーカスして解説します。

調香師ユタカ
調香師ユタカ

1,000以上の商品開発に携わった元化粧品メーカーの調香師ユタカと一緒に香りの歴史を学びましょう!

奥深い香り文化の歴史については、中世編とグラース編もご覧ください!

香りの歴史~メソポタミア編~

香り 歴史 メソポタミア

香りの歴史はどこから始まったのでしょうか?

諸説ありますが、紀元前3000年ごろにメソポタミア文明でシュメール人が使い始めたのが起源とされています。

シュメール人はレバノン杉(「香りのする杉」とも。現在のシダーウッド)を焚いて、神に捧げていたと言われます。

ちなみに、英語のPerfume(香り)の語源は、ラテン語でPer(~を通して)、 Fume(煙)。

当時使われていた香りの素材はフランキンセンス、ミルラ、ベンゾインなど、植物の樹脂が主流で、燃やすことで煙を焚き、その香りを嗅いでいました。

これらの香りは心を落ち着かせる効果があり、権力者や聖職者たちは「煙を通して香りを嗅ぐことで神と一つになれる」と信じていたのです。

世界各地に様々な宗教がありますが、どの宗教でも香りを取り入れているのはそういった効果があったからなんですね。

香りの歴史~エジプト編~

香り 歴史 エジプト

香料には様々な効果があります。

香料の防腐効果に着目したのはエジプト人でした。

エジプトではファラオが亡くなったのち、ミルラと呼ばれる植物の樹脂を塗り、ミイラとして手厚く葬ったとされています。

ミルラには強い防腐・防臭作用があり、死体を腐らせにくくしたのです。

当時は、現在のように庶民が香りを楽しむことはなく、一部の限られた権力者・聖職者のみが触れることのできる貴重なものでした。

香りの歴史~ギリシャ編~

香り 歴史 ギリシャ

ギリシャ時代になると香料が製造され始め、庶民でも香りを楽しめるようになりました。

入浴が大好きだったギリシャ人は、風呂に香料を入れたり、風呂上がりに香油を体に塗って楽しんでいたそうです。

また、体に塗るだけではなく、ワインにミルラを入れるなどして保存性を高めつつ、香りや味の変化を楽しんでいました。

また、大衆的な娯楽という側面だけでなく、テオフラストスという学者が「香気について」という論文を書くなど、学問や研究の対象として認識されていました。

香りの歴史~ローマ編~

香り 歴史 ローマ

香料がギリシャからローマに伝わると、ローズウォーター作りなど花から香りを抽出する技術が発達し、寝室のような空間に香りを充満させる文化が花開きます。

また、美食家だった貴族たちは調味料に香辛料をふんだんに使い、食材の生臭さを消していたそうです。

香料を求めて世界中に交易ルートが開拓され、アラビア半島だけでなく、インドや果ては中国まで拡大させ、シルクロードができたと言われます。

交易のために香料を入れる容器が大量に必要になりました。

そこでガラス加工の技術が発達したと言われています。

香りの歴史~インド編~

香り 歴史 インド

西洋の文化とは異なりますが、古代から香りを楽しんでいた点は共通のようです。

インドには香料が取れる植物が豊富に生育し、「世界の香料産地」とも呼ばれています。

とても暑い気候ですので、食料を保存するために防腐効果の高い香辛料が重宝されました。

カレーのようにスパイスが効いた料理が好まれているのも当然ですね。

また、仏教の伝来とともに中国にも香料が伝わりましたが、気候の違いからか、庶民にまで広まることはなく、貴族など一部の特権階級が楽しむに留まったようです。

香りの歴史~日本古代編~

中国ではなかなか浸透しなかった香り文化ですが、シルクロードに乗って日本にも伝来しました。

仏教における「祈りの香り」として主に線香が使われていたようです。

ですが、香りの伝来として一番有名なエピソードは蘭奢待(らんじゃたい)でしょう。

595年に、淡路島に1本の流木が流れてきました。

一部を削って燃やしてみると、非常に良い香りがしたそうです。

現在は伽羅(きゃら)と呼ばれる香木で、とても貴重なものです。

推古天皇に献上され、摂政だった聖徳太子が水よりも重く沈む木であるから、「沈香」と名付けたそうです(諸説あり)。

現在は正倉院に保管されており、時の権力者たちが削り取って香りを楽しみ、権力を誇示していたとされています。

織田信長や明治天皇が切り取った跡があるそうです。

香りの歴史~日本平安編~

平安時代に貴族文化が花開くと、香りも「祈りの香り」から「雅の香り」へと変化していきました。

仏前に供えるだけでなく、着物や部屋に香りを焚き染めることが貴族の嗜みとなりました。

季節やテーマに合わせて香料を調合し、批評し合う「薫物合わせ」という遊びが流行し、後の香道の基礎を築いたと言われています。

貴族が香りを楽しむ描写は「源氏物語」や「枕草子」といった有名な文学作品にも頻繁に出てきています。

香りの歴史~古代編~まとめ

世界各地で様々な楽しまれ方をする香りですが、源流は洋の東西を問わず、宗教と暑い気候に適応するための人の智慧、という共通点があるのが面白いです。

次第に交易が広まり文化の交流が起きて、それぞれが影響し合うのもとても興味深いですね。

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この記事を書いた人
調香師 男性 普通
調香師ユタカ

化粧品メーカーの研究所で8年間、調香師として商品の香り開発をしていました。スキンケア、メーキャップ、ヘアケア、入浴剤など含め、1,000以上の化粧品の香りをデザインしました。香水を初心者にも気軽に楽しんでもらうために、このサイト(調香師ユタカのおすすめ人気香水ナビ)を立ち上げました。詳しいプロフィールはこちらから。

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